桃丘コレクション

桃丘コレクション

さて、桃丘コレクション。パンフレットを見る限り、ぶどう狩り(8月〜11月)やらバーベキューが楽しめ、桃やぶどう、甲州ワインなどの直売所なる桃丘観光園も経営する「桃丘グループ」の一環として経営されているらしい。

パンフレットには「性の神秘を探る古今東西の貴重なる美術品、工芸品を一同に展示して、見学の皆様に人間本来の姿「夫婦和合の精神」の貴き美しさを心から確かめていただきたいと祈念するものであります。」とも書かれており、バカバカしいエッチさはなさそうだ。

しかし入口を入ると、いきなりヌードカレンダーが飾ってあったり、バイブレーターが陳列されている。このへんは貴重な美術品とか工芸品ではなく、隣接したアダルトショップで販売している物と思われる。

さて、ここから先は撮影ご遠慮くださいに伴い、今回も自分のイメージ画でご紹介したいと思います。

もものれんをくぐると、いきなり目に飛び込んでくるのが巨大な木製の桃(なのか?)。ぱっくり割れたその間には桃太郎ではなく、片側に男性器、片側に女性器がある。手前には賽銭箱がありお供えがしてあったので、御神体と言った感じだと思われる。紐が出ていたので引っ張ってみると、男性器が動く仕掛けになっていた。

巨大な桃の横には、屏風が飾られている。ここに描かれているのがエッチな漫画のようなもの。台詞はないが順を追ってみていくと、旅の途中の男女が意気投合して旅館に泊まり、3人組の男どもも同じ旅館に泊まる。お互いの部屋は隣同士。

男女は盛り上がってコトが始まり、それに気付いた男3人組は鴨居の上の隙間から覗き始めるが、彼らの足場が崩れてふすまごと隣の部屋へ。3人は男に怒られるが、彼らの目はその男のモノの大きさに目が釘付けになっている...というような内容であった。結構表情が面白い。

館内は結構薄暗くてシーンとしているので、ちょっと不気味な感じもする。

壁一面がガラス張りの展示ケースになっており、木製の張り型とか、性器をかたどった仏像みたいなものとか、男女が交わっている浮世絵がプリントされている着物などが飾られている。

他にも西洋の医学書みたいなものとか、ここでしか見られない?大正時代の女性のヌード写真もある。ちなみに大正時代の女性のヌードというのは、何だか違う生き物をみているようであった。頭は大きいし胴が長くて足が短い。太っている割に胸はない。

大体がどこかの秘宝館に展示されていた物の類似品で、あまり目新しいものはなかったが、ここで新たに見たモノといえば木製の花札。上半分は花札の絵柄なのだが、その下に四十八手の一つと思われる体位が彫られている。木でできている花札というもの珍しい。

1階はそんな感じ。奥にある更に薄暗い階段を上って2階へ。

2階へあがってギョッとさせられたのが、ガラスケースに入った日本人形。縦ではなく、寝かせて置いてあったのでのぞき込んでビックリした。ただ単に置いてあるだけで、特に性的な感じのものではなかったが、髪の毛が伸びるとか、夜中に泣くとかそんな感じを思わせる日本人形だった。

中央にある柱には造花でできたレイが飾ってあり、そのまわりにはいくつかのイスと灰皿。ちなみに灰皿は吸い殻でいっぱいだった。そんなに多くの人が来て一服していったようにも思えないので、たぶん長いこと掃除していないのだと思う。

たばこ灰皿の近くにあったショーケースには、結構ユーモラスなパイプ?があった。口をあけて受け皿を持つ陶器の女性。下から管が延びていて、その先端に吸い込み口がついていることから、口の部分にタバコをさし、管からその煙を吸って、灰を受け皿に落とす灰皿合体型パイプのようである。でも、直接吸った方が全然よさそうだと思われる。

2階は1階に比べると細かいものの展示であるようで、動物の生殖器のホルマリン漬けに始まり、春画、性器のオブジェ、誰が描いたのかよくわからない少女のヌードとか、そんなものも飾ってある。

結構統一性がないというか、まさに古今東西の美術品、工芸品のコレクションの陳列といった感じであった。

水晶ホルマリンの後ろには、絡み合う七福神の絵が飾ってあった。七福神には女性が一人しかいないので、当然のことながら残りの六人が女性のまわりにはべっている。全員が半裸で入り乱れているので、誰と結合しているのかまではわからなかった。

あとは山梨ならではの水晶で出来た男性器のオブジェ。実際この形だったのか、わざわざ加工したのかは不明だが、中央に真珠が入っていたのでたぶん作り物だと思われる。

何にしても陳列を眺めるだけなのと細かい説明があまりないので、ばーっと見るだけだとあっという間に終わってしまうと思う。入館料1,000円をとことん楽しむならば、気になったものはじっくり眺めることをオススメする。

帰り際、お兄ちゃんは「週刊誌見てここに来たんですか?」と聞いてきた。週刊誌に心当たりはなかったので、その週刊誌は何かと尋ねると「週刊大衆」であった。ついでに「実は全国の秘宝館めぐりをしていているんだけど、この辺に他に秘宝館ないですか?」と石和ロマンの館や石和国際秘宝館につながる糸口を求めて聞いてみた。

「えーと、この近辺はないと思います。でも、この週刊誌に出ていたんだけど、河口湖畔に一件あるみたいですよ」と週刊大衆を見せてくれた。GWに訪れよう!何とかスポットということで、全国各地の秘宝館がモノクロながら写真入りで紹介されている。

その中に河口湖畔にある「富士博物館」というのがあった。新たなスポットを知り得たことに喜びつつ連絡先をメモり、お兄ちゃんに礼を言い、早速行ってみることに決めた。

最後に、あまりにも若いこのお兄ちゃんと秘宝館という取り合わせに納得いかなかったので「ここに展示されているのって、この秘宝館のオーナーのものなんですか?」と聞いてみた。

「ええ、そうなんですよ。以前はオーナー自身が中を案内してたんですけど、随分前から体調を崩して...

やっぱりバイト君か。あー、オーナーだったら説明があったのかー。それにしても病気なのかオーナー。このまま引退したらこの秘宝館も閉館するんじゃないのか、オーナー。それはちょっともったいない気もするぞ、オーナー。いろんな思いが一気に頭を駆けめぐった。

前に来た時「絵とか人形とかあるだけでつまんないよ」と言ってきたオヤジ。今思えばあれがオーナーだったのかもしれない。もしかしたら、単なる変なオヤジだったかもしれないが、何となくそんな気がする。

絵ところで余談だが、ノートルダムのせむし男を思わせるほぼ直角に折れ曲がった背中のこのオヤジに「絵とか人形とかあるだけでつまんないよ」と言われ、その一瞬の間に「絵」という言葉は自分の頭の中で左図のようなものを想像させていた。

虎にまたがる全裸女性。しかも鎖つき。

これじゃあまるで獣姦とSM好きな変態が描いた絵のようである。しかし怪しげな雰囲気の愛と性の博物館。そしてこのオヤジ。当時は秘宝館に興味もなかった自分としては、そんなところに飾ってある「絵」というのは、こんなものだろうと考えていた。

話がそれたが、もし背中の曲がった変なオヤジがオーナーだったとしたら、何故入館を勧めなかったのだろうか?

それはその時の自分達が「他に行くところもないし、ここ覗いてみる?」と言った感じの冷やかしっぽかったからだと思う。それに付け加えるならば、オヤジには「こいつらだけのために、鍵開けて電気つけるの面倒くせー」という部分があったように思う。

どっちにしても、中を見ることが出来たので今となってはどうでもいい。

ただハッキリ言えるのは、オヤジが言った「絵とか人形とかあるだけでつまんないよ」は結構当たっているということだ。