越前がにミュージアム

越前がにミュージアム

初めての北陸から丸3年。2006年の年末はまたしても北陸へ。まず最初に訪れたのは、日本初のカニの博物館「越前がにミュージアム」。カニの博物館でさえ珍しいのに、越前がにと銘打っているのが凄い。越前がにへの愛と自信の現れか。

実は建物自体が「カニ」というステキな構図なのだが、あまりに巨大なカニなので近くで見てもわからない。そこで、国道挟んだ反対側にある「アクティブハウス越前」(運営は越前がにミュージアムと同じ財団法人 越前海遊公社)の前へ移動すると、近未来的な感じがする巨大なカニの姿が見えてきた。

越前がにミュージアム全貌

プラネタリウムを思わせる半円状の甲羅部分がミュージアムで、左のハサミは管理棟、右のハサミはマーケット棟(お土産&レストラン)となっている。

キャッチコピーは「大きな愛と驚きがある かにミュージアム(ビックラブ)」。驚きがある「ビックラ」カニがいる「クラブ」愛がある「ラブ」のトリプルミーニング。越前がにへの愛がここにも。

越前がにミュージアム越前がにミュージアムさて、大胆な外観とは対照的に、入口には控えめに「越前がにミュージアム」の文字。そして原色で彩色されたドット絵的なカニ。このカニはミュージアムグッズとしての販売はもちろん、パンフレットやお土産の袋にも印刷されている。

右の写真は、入り口を入ってすぐの所に展示してあったカニトロフィー。数年前まで大相撲の優勝力士に贈られていたそうだ。もちろん本物の越前がにがメインで、これは目録的なものなのだろうが、かなり精巧に作られている。越前がにの証明である「黄色いタグ」までついているのだ。

しかし、優勝力士がカニをもらっていたとは知らなかった。本物は食べたいときに自分でなんとかできそうだが、このカニフィギュアはうらやましい。部屋に飾って眺めたいので、スッポン交尾像に続き「大富豪になった時に特注して作ってもらう物リスト」に入れたいと思う。

ところで、越前がにミュージアム。外観に負けず中も近代的な香りの漂うハイテクミュージアムなのだが、撮影禁止である。

そんな訳で、今回は自分の手描き「ズワイガニ(越前がに)」と、自分の甲殻類フィギュアコレクションの中で一番のお気に入りである「タラバガニ」の写真をお楽しみ下さい。

館内へ入ると、まずは3階へ上がる。越前沖を示した海図ホールを抜けると、巨大なジオラマがある。3階部分が海面となっていて、2階は浅海の生き物、1階は深海の生き物と、らせん状に降りて行くことでカニへと近づいていくのだ。

かなり良くできているジオラマで、隅々まで見ても楽しい。途中の2階では明治から現代に至るまでのかに漁が紹介されている。1階ではジオラマだけでなく、水槽に本物の越前がにもいる。

越前がに手描き

ズワイガニ(越前がに)

1階はジオラマ以外に越前がにを学べるゾーン、海中シアター、トンネル水槽、かに研究室と盛りだくさんである。
せっかくなので、ざざっと学んできた「越前がに」の基礎知識など。

・福井県で水揚げされるズワイガニを「越前がに」と呼ぶ。(山陰地方では「松葉がに」)
・メスは「セイコガニ」と呼ばれる。
・福井の港で水揚げされたことを証明する「標識」は黄色いタグである。
・水深域200〜400mぐらいに生息する。
・漁期は11月6日〜3月20日で、主に底曳網で漁獲される。
・甲幅が9cm未満のカニの漁獲は禁止されている。

越前がにの生態や標本を見るうち、気分はすっかり「カニ博士」である。色々見て一番気に入ったのは、卵からふ化した後のカニの呼び名である。ふ化した後はプランクトン状の幼生で、プレゾエア、ゾエア、メガロッパと呼ばれるのだ。

メガロッパ!怪獣みたいな名前だ。メガロッパ!!とにかく気に入った。そしてこのメガロッパ、シラス干し等によく混じっているそうだ。気づかないうちにメガロッパ食べていたかもしれないのだ。面倒くさいから、わざわざ探しはしないけど。

タラバガニフィギュア

タラバガニ

ところで、カニといえば一対のハサミに脚8本というのが一般的なイメージであると思う。しかし、自分の好きなタラバガニは脚が6本である。カニと呼ばれていてもヤドカリ、エビに近い分類だが、甲殻類という同じ仲間であることには変わりない。ま、個人的には旨ければ何科何目であっても構わないが。

そんな豆知識も学べるのが「かに研究室」だ。スベスベマンジュウガニとかクモガニとか、見たことも聞いたこともないような名前と形のカニが数多く展示されている。標本や資料以外に、名前に蟹がつく方が収集していたカニグッズや、世界中の蟹グッズもある。

そして、越前がにミュージアムのメイン施設とパンフレットに書かれた「海中シアター」。3D立体映像でかに漁や越前がにの姿を見ることができる。映像とはわかっていても、思わず顔にかかる波しぶきに「おっ!」となってしまう。それ以上に「おー!」となったのは、カニ料理だったが。ま、そういう人の為にミュージアムの横にレストランやマーケットがあるのだろう。至れり尽くせりだ。

カニ電灯越前町は町の至る所にカニが描かれた看板が立ち、道路沿いの街灯もカニと、見ているだけでも楽しい。ちなみに海沿いの道を北上していくと、この街灯はカニから水仙に変わる。(行ってないけど、水仙ミュージアムや水仙ランドもあった。)

荒れ狂わない日本海日本海というと、荒れ狂っているイメージがあったのだが、この日はとても穏やかだった。この水面下にカニがわさわさいるのか・・・と、カニやら水仙やらで勝手にのどかな場所と思いこみそうになった。

が、ここの海岸線、全然穏やかじゃないのである。あまりの強烈さに写真を取り損ねてしまったのだが「許すな!密航」というスゴイ看板が道路沿いにいくつも存在する。「密航」が身近にある生活って・・・なんだか凄まじい。

この日の夜は、もちろん越前がにを食べた。カニを出してくれた板前さんに「越前がにミュージアム」に行ってきたと言うと、「そんなの(博物館)があるのですか?!」とびっくりされた。ビックラブの「ビックラ」は存在を知ることでも得られたのかと感心する。

越前がに自体は期間限定の冬の味覚だが、ミュージアム休館日は毎週火曜日だけ。越前がにはもちろんのこと、世界中のカニについての資料もあり、カニについて知りたい人、カニが好きな人にはオススメな場所。驚き「ビックラ」カニ「クラブ」愛「ラブ」のトリプルミーニングが味わえます。